2019/05/09
私は社会人になってからずっと、他の社員より3時間以上早く出勤しています。
(右はスエズ運河航行中エラそうに写真に写る私)
船員時代は、3交代制の勤務ですので、他の航海士の邪魔にならないよう、航海当直に入るのは定時でしたが、 それでも、甲板や船倉のチェック、積み付けプランや航海計画の策定等、それはもう皆様にお見せたいぐらい真面目に仕事をやってから船橋に上がっていたものです。
陸上勤務となり、社内で一番過酷な部署と言われた、不定期船運航(オペレーション)チームに送られた際には、 毎日朝5時半に、全社一番乗りで出勤し、広いフロアで一人パソコンを立ち上げて缶コーヒー片手に、海外の代理店や本船船長とのやり取りを通しての本船の動静や積み付けプランのチェックおよび国内のお客様や船主さんへのメール連絡、補油計画や次の航海のスケジュール調整等を行っていました。
やがてそれらの仕事が終わる頃、始業開始30分前となり、社員が続々と出社してきます。ほっとして安堵の表情を浮かべながら、「ふーっ。。やれやれ、面倒なのは片付いた。さぁ今日はこれから何やっていこうかな。」と考えている私とは対照的に、出社してくる社員は皆一様に緊迫した表情です。目が尋常ではありません。出社して来たばかりだというのに焦りの色が隠せません。 慌ててパソコンの電源を入れる際、昨夜飲み残した缶コーヒーを倒してしまい、汚れた机の書類を拭こうにもティッシュが見つからず、 慌てているうちにスボンもコーヒーで濡らしてしまうバカ、あっ失礼、慌て者もいます。
そして9時の始業のチャイム。学校のチャイムとは違い、いわば戦闘開始の合図です。夜間に海外から来ていた100通以上のメールに加え、社内外からのメールもドシドシ、電話はバンバン。。
そこはまさに戦場。その戦場の中で両手を上げてストレッチをしながら、自分の世界で仕事をしている私は、相当浮いていたと思います。なんせ、その日の雑用関係は朝の3時間で終わらせており、連絡関係もメールで済ましているので、電話もほとんどかかってきません。あとは時間のかかる仕事を自分のペースでどんどんこなしていくだけ。 とここまで言うと、たとえ本当の話であっても「かっこよすぎんじゃねぇーの?」「結局、自慢じゃねぇー↗?」という若者からのクレームも来そうですので、ここまで早朝出勤にこだわる理由(わけ)をお教えしますね。
私はこの40年間、商船大学に現役で受かった事以外は(えっまた自慢?すみません。。)一発勝負でほとんど勝った事がありません。 スポーツにしても仕事にしても全てそうです。
学生時代は、サッカー、剣道、硬式野球、それぞれ相当本気でやりましたが、試合で活躍できた事はほとんどありません。 中学時代のサーカーでは、初めて試合に出してもらった時、しかも小学生チーム相手ですが、ミス連発でボロ負け、剣道の大会ではいつも得意の「面」(解説①竹刀で相手の頭頂部を激しく叩く事)を連発して試合を優位に進めながらも、逆転の「出甲手」(解説②面の得意な相手が調子に乗って面を打ちにくる動きっぱなに、右手首のあたりを竹刀でえげつなくしばく事)を食らって負けていました。
硬式野球では、ずっと補欠でしたが、レギューラー陣が監督とけんかして、やけになった監督が僕を4番ファーストで起用してくれましたが、最初の打席でインコースの直球を無理やり打ちに行き、硬式球を右手首にあててボキッ(骨折音)。
仕事も、最初のうちは全くできず、上司からもいつも同期と比べられて、いかに仕事ができないかという事を気がおかしくなるぐらい言われました。
そんなことがあり、私は同じ土俵で試合をすれば絶対に負ける。という明確な認識を常に持っています。ですので、そんな私でも仕事で活躍できる方法はといえば、早く始める。まぁスポーツで言えばフライングですが仕事では失格にならないでしょう。
(もっとも、早朝出勤で時間外等一切つけた事がなく、そんな事をされては困ると上司に注意された時は参りましたが)
当院に来て10年目になる今でも、朝6時前には出社して仕事を始めています。 9時に診察が始まるアナウンスが流れ、スタッフも患者も緊張した表情を浮かべる中、一人安堵で余裕のニヤニヤ顔をした、もじゃもじゃ頭のオヤジを見たら、それは間違いなく私です(笑)。