2019/05/09
長い人生、誰もがいろんな苦労をします。そしてそれぞれの努力と持ち味で、その苦難を乗り越えた時、人はその成功談、苦労話を誰かに聞いてもらいたいという衝動にかられます。
たとえば仕事。入社してからずーっと順風満帆、ストレスやトラブルなしでやっていけることなんかありません。殴られても殴られても起き上がって向かっていくぐらいの気持ちが必要です。
で、そんな感じで5年もすると、自分のペースで進めれるようになり、周りの見る目も少し変わってきます。さらに10年目ぐらいになると、自信に満ち溢れ、もう怖いものなしです。眼光鋭く狼のような貫禄すら出てきます。そして、そんなとき新入社員が入ってきます。業界の右も左も分からない真っ白な子羊が、「めぇ~」と忙しい中で右往左往していると、一発ガツンと注意したあとに、ついつい、「俺の時はなぁ、・・・・」などと説教が自然と出てきます。うざがられているんだろうな。。と察しつつも、やめられない、この説教。 どうすればいいのでしょうか?
これまで多くの人たちと仕事をしてきた私に言わせてもらえば、説教にはして良いものと、悪いものがあるのです(すでに説教調)。
(写真はパナマ運河通行中、そして積み荷役中のバラ積み船、「そじ坊」日比谷国際ビル店)
私は、船会社に在籍中、約10年間船に乗った後、2年半の本社勤務(東京新橋)を経験しました。10隻の船で、のべ数十名の上司に仕えてきた船員時代から一転、本社勤務となり、不定期バラ積み船の運航管理チームに、初の船員経験者として、鳴り物入り(?)でいきなり20代の入社1~7年目ぐらいの社員達(約9名)の上司として仕事しました。 この部署の業務は、原料・穀物等を運ぶ船の運航全般の管理(荷主、船主との交渉、貨物の積み付けプランの監督・指示、航路や寄港地、燃料補給地の選定、手配、その他運航に関する事全て)です。10人のチームで、多いときは150隻以上の持ち船の運航を担当します。世界各国に散らばる船ですので、24時間休みがありません。超多忙です。まさに寝てる時間以外は常に仕事をしているぐらい、忙しいのですが、当時30才になりたての僕に、若い部下が担当船のトラブルなどで、ひっきりなしに相談してきました。
(実際にあった相談例)
難易度1 ①アメリカの積地で貨物が十分になく、出航時間が遅れそう。
→「たいした事ないよ。船長に情報を逐次報告させて、それを日本の荷受人の商社に伝えろ。というかそんな事ぐらいでいちいち電話してくるな。ちょっとは自分で考えろ!(怒)」
難易度4 ②アメリカ東岸で穀物を積んだ船が、貨物を積み過ぎてパナマ運河航行制限喫水をオーバーしていることに気づかず、そのままパナマ運河東入り口に到着し、パナマ当局から指摘(および通航拒否)される。船長より担当者携帯へ緊急電話が入る。
→「まじかよ、やべぇぞそれ。。日本のお得意先への貨物じゃないかよ!くそっ、夜中に頭がはたらかねぇなぁ、ゴンゴン(自分の頭をたたく音)。。①積港へ戻らせるのは、時間がかかるし、積地で対応してくれるかどうかまったく不明だし、やっぱり、、、②パナマ運河入り口で、クレーン付きのバージ(船)を手配し、積み過ぎた貨物をいったん陸揚げするしかねぇなぁ、でも莫大な費用と時間ががかかるなぁ。。次の部内会議で、お前と俺2人で、部長からつるし上げ食らうぞこりゃ。。 ・・・。 おい待てよ!それ以前に、その船は当社の船じゃなくて、用船契約してる(船員ごと借りてる)だけの船じゃないか。船の船長に電話して、それはお前のミスで積み過ぎたんだから、船主責任だ、すぐにお前のところの船主にクレーン付きバージを手配させろと強く主張しろ!」
冷や汗度5 ③アメリカ西岸で小麦を積んで日本に向けて太平洋のど真ん中を航行中の船から、担当者自宅へ夜中3時頃FAXが届く。。 ”///緊急///緊急///緊急///船の燃料が足りないので、日本まで届かない。指示を待つ”
→「どっかーん。 なんちゅう船やそれ。。 積地出航してもう3日走ってるの? いまさら、後戻りできないなぁ。。うーん。船に減速超省エネ航行で日本まで届くか聞いてみろよ! それから、最悪の場合は、かなり遠回りになるけど、南下してハワイに寄港して補油だ!まてよ、ハワイの燃料はかなり高騰して玉もタイトだって燃料チームから連絡あったとこだったなぁ。 ・・・。 とにかく今から会社に行って、二人で検討しよう。始発はまだ? 馬鹿野郎、タクシーでくるんだよ!!」
こんな数々の難題を抱えて、部下達は私に夜中であろうがなんであろうが、バンバン電話をかけてきました。仮に電話に出れなくても、出るまで何度も執拗にかかってきます。ストーカーでもここまでしつこくないでしょう。
でもそんな時、私がどんな状況でも絶対にしてはいけないと自分自身に言い聞かせていたのは、部下からの「助けてください、何とかしてください!(くるしぃ~)」という相談に、決して一般論(本来こうあるべきだ論)や昔の自分の話等で逃げないこと! 相談してくる部下は、一般論なんてどうでもいいのです。身に降りかかった火の粉を、とにかく消してくださいという切実な願いなのです。 それを助けてやらなければ、説教も、結局は自己満足で、なんの役にもたたたないものに終わってしまいます。
部下からの相談には、具体的に「○○しろ!」と指示します。そして、あとの事は自分が全て部下に代わって(あるいは一緒に)カバーします。
そして、トラブルがひと段落した数日後に、新橋の行き着けの日比谷国際ビル地下1階「そじ坊」で酒を飲みながら、仕事の説教や自分の自慢話を好きなだけすると、助けてもらった部下は、何の抵抗もなくそれを聞いてくれます。 でもやっぱり、最後の会計は自分のポケットマネーで。。(今度は私がくるしぃ~)
「そんなにかっこ良くなかったっすよ!」という当時の部下の声が聞こえてきそうですが、私の持論は垣根の外から説教するようではだめだということです。
当院に来てはや10年、女性スタッフが私の説教に耳を傾ける日はくるのでしょうか?
たとえば仕事。入社してからずーっと順風満帆、ストレスやトラブルなしでやっていけることなんかありません。殴られても殴られても起き上がって向かっていくぐらいの気持ちが必要です。
で、そんな感じで5年もすると、自分のペースで進めれるようになり、周りの見る目も少し変わってきます。さらに10年目ぐらいになると、自信に満ち溢れ、もう怖いものなしです。眼光鋭く狼のような貫禄すら出てきます。そして、そんなとき新入社員が入ってきます。業界の右も左も分からない真っ白な子羊が、「めぇ~」と忙しい中で右往左往していると、一発ガツンと注意したあとに、ついつい、「俺の時はなぁ、・・・・」などと説教が自然と出てきます。うざがられているんだろうな。。と察しつつも、やめられない、この説教。 どうすればいいのでしょうか?
これまで多くの人たちと仕事をしてきた私に言わせてもらえば、説教にはして良いものと、悪いものがあるのです(すでに説教調)。
(写真はパナマ運河通行中、そして積み荷役中のバラ積み船、「そじ坊」日比谷国際ビル店)
私は、船会社に在籍中、約10年間船に乗った後、2年半の本社勤務(東京新橋)を経験しました。10隻の船で、のべ数十名の上司に仕えてきた船員時代から一転、本社勤務となり、不定期バラ積み船の運航管理チームに、初の船員経験者として、鳴り物入り(?)でいきなり20代の入社1~7年目ぐらいの社員達(約9名)の上司として仕事しました。 この部署の業務は、原料・穀物等を運ぶ船の運航全般の管理(荷主、船主との交渉、貨物の積み付けプランの監督・指示、航路や寄港地、燃料補給地の選定、手配、その他運航に関する事全て)です。10人のチームで、多いときは150隻以上の持ち船の運航を担当します。世界各国に散らばる船ですので、24時間休みがありません。超多忙です。まさに寝てる時間以外は常に仕事をしているぐらい、忙しいのですが、当時30才になりたての僕に、若い部下が担当船のトラブルなどで、ひっきりなしに相談してきました。
(実際にあった相談例)
難易度1 ①アメリカの積地で貨物が十分になく、出航時間が遅れそう。
→「たいした事ないよ。船長に情報を逐次報告させて、それを日本の荷受人の商社に伝えろ。というかそんな事ぐらいでいちいち電話してくるな。ちょっとは自分で考えろ!(怒)」
難易度4 ②アメリカ東岸で穀物を積んだ船が、貨物を積み過ぎてパナマ運河航行制限喫水をオーバーしていることに気づかず、そのままパナマ運河東入り口に到着し、パナマ当局から指摘(および通航拒否)される。船長より担当者携帯へ緊急電話が入る。
→「まじかよ、やべぇぞそれ。。日本のお得意先への貨物じゃないかよ!くそっ、夜中に頭がはたらかねぇなぁ、ゴンゴン(自分の頭をたたく音)。。①積港へ戻らせるのは、時間がかかるし、積地で対応してくれるかどうかまったく不明だし、やっぱり、、、②パナマ運河入り口で、クレーン付きのバージ(船)を手配し、積み過ぎた貨物をいったん陸揚げするしかねぇなぁ、でも莫大な費用と時間ががかかるなぁ。。次の部内会議で、お前と俺2人で、部長からつるし上げ食らうぞこりゃ。。 ・・・。 おい待てよ!それ以前に、その船は当社の船じゃなくて、用船契約してる(船員ごと借りてる)だけの船じゃないか。船の船長に電話して、それはお前のミスで積み過ぎたんだから、船主責任だ、すぐにお前のところの船主にクレーン付きバージを手配させろと強く主張しろ!」
冷や汗度5 ③アメリカ西岸で小麦を積んで日本に向けて太平洋のど真ん中を航行中の船から、担当者自宅へ夜中3時頃FAXが届く。。 ”///緊急///緊急///緊急///船の燃料が足りないので、日本まで届かない。指示を待つ”
→「どっかーん。 なんちゅう船やそれ。。 積地出航してもう3日走ってるの? いまさら、後戻りできないなぁ。。うーん。船に減速超省エネ航行で日本まで届くか聞いてみろよ! それから、最悪の場合は、かなり遠回りになるけど、南下してハワイに寄港して補油だ!まてよ、ハワイの燃料はかなり高騰して玉もタイトだって燃料チームから連絡あったとこだったなぁ。 ・・・。 とにかく今から会社に行って、二人で検討しよう。始発はまだ? 馬鹿野郎、タクシーでくるんだよ!!」
こんな数々の難題を抱えて、部下達は私に夜中であろうがなんであろうが、バンバン電話をかけてきました。仮に電話に出れなくても、出るまで何度も執拗にかかってきます。ストーカーでもここまでしつこくないでしょう。
でもそんな時、私がどんな状況でも絶対にしてはいけないと自分自身に言い聞かせていたのは、部下からの「助けてください、何とかしてください!(くるしぃ~)」という相談に、決して一般論(本来こうあるべきだ論)や昔の自分の話等で逃げないこと! 相談してくる部下は、一般論なんてどうでもいいのです。身に降りかかった火の粉を、とにかく消してくださいという切実な願いなのです。 それを助けてやらなければ、説教も、結局は自己満足で、なんの役にもたたたないものに終わってしまいます。
部下からの相談には、具体的に「○○しろ!」と指示します。そして、あとの事は自分が全て部下に代わって(あるいは一緒に)カバーします。
そして、トラブルがひと段落した数日後に、新橋の行き着けの日比谷国際ビル地下1階「そじ坊」で酒を飲みながら、仕事の説教や自分の自慢話を好きなだけすると、助けてもらった部下は、何の抵抗もなくそれを聞いてくれます。 でもやっぱり、最後の会計は自分のポケットマネーで。。(今度は私がくるしぃ~)
「そんなにかっこ良くなかったっすよ!」という当時の部下の声が聞こえてきそうですが、私の持論は垣根の外から説教するようではだめだということです。
当院に来てはや10年、女性スタッフが私の説教に耳を傾ける日はくるのでしょうか?